第二章[愛の実]

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 バイトを始めたのは大失敗だ。    しかたないので、週に2~3日くらいだけバイトに行くことになった。    また中途半端とアキラに言われたくないんで、毎日バイトに行っていると嘘をついた。    おかげで、アキラにはバイトに行ったふりをしてメールや電話のやり取りをする手間ができてしまった。    面倒臭い。    バイトなんて早く辞めたい。    仕事なんて、就職なんて、したくない。    すでに師走12月になる寸前で、本来、進路について答えを出さなければならない時は過ぎていた。    今さらだったが、ジュンは学校の進路指導の先生に泣きついた。  どこか今からで進学できる所はないだろうか?と。    先生は難しそうな顔をしていたが、とっておきの一枚のパンフレットを見つけてくれた。    来春開校の専門学校。    とある企業が出資して、専門のエキスパートを育成するのが狙いの学校。  まだ開校前、実績も無ければ、手探りの状態でスタートするみたいな学校らしい。    ジュンが通ってきた高校の科の生徒を、推薦とまではいかないが誘致する傾向のようだった。    入学には一応面接があって、その面接日にはまだなんとか間に合いそうだった。    進学を選ぶとすれば、ジュンの学力ではそこくらいしかないだろう。    ただ…。    隣県だが、とても通える距離ではない場所に学校があった――。  
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