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[12]M(ミカ)
ミカが夜ベッドで、うとうと過ごしていると携帯電話が鳴った。
ぼんやり、ディスプレイ画面も見ないまま電話に出た。
「ミカちゃん?」
男の声。
誰だかわからなかった。
「もしもし、ミカちゃん?」
「…は、はい?」
「あの、アキラなんだけど。わかる?久しぶり。」
ミカは目が覚めるように意識が呼び戻された。
「突然、ごめんね。前、ジュンが電話した履歴が残ってたんで、勝手だけど電話かけちゃった。」
「い、いえ、構わないですけど。今ジュンも一緒なんですか?」
「う~ん、ジュンには内緒で電話かけたんだよ。実はジュンのことで、ミカちゃんに相談に乗ってもらいたいな、と。いいかな?」
ふとジュンの顔がよぎったが、アキラとひそかに話ができるのは楽しいかもしれないと思った。
「私でよければ喜んで。力になれるかはわかりませんが。」
ミカはさりげなく装って答えた。
アキラはジュンのことを、2時間近く話した。
所々に、こういうのは同級生としてミカちゃんならどう思う?と聞かれた。
ミカはジュンをフォローしつつ、自分ならこうだときちんと答えた。
アキラはジュンに振り回されているようだったが、あながち深刻な相談とは受け取れなかった。しょせん、恋人の間としての問題だろうし…。
「困ってるんだけど、ガマンするしかしかたないよな。」
と、何度も繰り返すアキラだったが、ジュンが原因で困らせているということは改めてよくわかった。
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