第二章[愛の実]

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[15]A(アキラ)    ジュンが無事高校を卒業式を終えた。    次の学校の入学するまでのつかの間の休みを使って、卒業旅行に行くことにした。  とは言っても仕事を長期手放す訳にもいかないので、金曜の仕事が終わり次第出発して車で仮眠しながら現地に向かい、翌土曜は旅館に一泊して日曜に帰ってこれるように日程を組んだ。    行き先は京都。    アキラが自分で旅館を予約する旅行なんて自身も初めてだった。    出発の日は、仕事にミスが無いなように確実に済ませた。ジュンはバイトに行ってくると言っていた。    空が暗くなった頃ジュンを迎えに行き、一路、京都へ。    休憩を何度もしながら夜明け前に京都府に入った。  そこで明るくなるまで車内で仮眠した。    明るくなると交通量も増えてきたので、金閣寺方面は避けて市内東部を車で巡った。  二条城、清水寺、平安神宮、銀閣寺…。  京都は見所があふれていた。    旅館は京都大学のすぐ近くだった。早めにチェックインを済ませた。  宿泊名簿には「高橋明、純 夫婦」と記載して、ちょっと嬉しい気分になった。    荷物を下ろし、風呂に入ってから外へ食事に出掛けた。    湯葉料理など、京都ならではの味に舌鼓した。    旅先では酒がすすむ。  アキラは車の運転も気にせず、隣りにいる最愛の女性と肩を並べて楽しく幸せな時間を過ごした。    二人とも飲み過ぎた感ではあったが、旅館に帰るとむさぼるように互いを求め合った。  
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