第二章[愛の実]

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 翌朝は旅館で食事を済ませてからチェックアウトした。    そして、かねてからジュンの希望であった舞妓の恰好に変身するため、予約していた店に向かった。  石畳が並ぶ狭い道に店はあった。  アキラは2時間近くも店外で待たされはしたが、近くを探索しているとあっという間に時間は過ぎていた。    ジュンから完成したと連絡が入り、店に戻った。  そこには見違えるようなジュンがいた。    白粉で目鼻立ちがはっきり浮かび、美しい着物姿のジュン。    惚れ直すように見つめた。    ふいに結婚式の花嫁衣裳が頭に浮かんできた。    いつかそんな姿を見たいと、舞妓姿のジュンに夢を重ねてみていた。  美しい彼女の姿を、何枚もカメラにおさめた。    旅行の醍醐味のひとつに、お土産選びがある。  土産物屋を見て行くと、あれもこれもと、必要以上にたくさんの お土産を買ってしまった。旅行中のほとんどの時間は、お土産選びになってしまった。    お土産を車に詰めると、旅行の目的を達成したような感じがした。  渋滞を心配し昼過ぎに帰路についた。    助手席でウトウトするジュン。    いい旅行だったと思った。  愛する彼女と一緒だからだと思った。    二人だけの時間は、とても幸せだなと改めて思った。    ずっとこのままでいよう。    そっとジュンの手を握りしめた。    反射的に握り返してくる温もりが、愛おしかった――。  
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