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自転車置き場はクラスによって場所が決まっている。
そのため晴とは一旦別れ、それぞれの自転車を取ってくる事になった。
自分の自転車の鍵を開けると何処からか俺の名前が聞こえてきた。
自転車置き場を見渡しても俺を呼んだような奴は居ない。
気のせいだと思う事にしよう。
そう思ったときさっきより大きな声で呼ばれた。
「愁!!上だよ上」
見上げると朝の『奴』がいた。
2階の教室のベランダから手を振っている。
目は良いから、記憶していた顔はぼんやりでも黒のお洒落にカットされた髪ですぐにわかった。
「何だ?」
「バイバイ」
「おぅ」
笑顔で言われたのに対し不機嫌そうに返してやったが、本当のところかなり嬉しかった。
気が付くと晴が隣に来ていた。
「藤岡と仲良くなったん?」
「さっき俺に話かけてきた人の事?」
そう言うとため息をつかれた。
「知らないで話してたん?」
「おぅ。てか下の名前は何?」
「楼(ロウ)」
「分かった。覚えておこう」
解決したところで晴の家を目指し、自転車を出発させた。
その時なんとなく晴の顔が不機嫌そうに見えた。
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