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 残念な事に俺は男なので、男子目線で格好良いなと思うくらいなのだが。   「後半……。ああ、あのスパルタ系美人教師」 「何だよそれ」    呆れた瑞希の台詞に「いやいや! 別に俺の感想じゃないからね」と弁解する。一学年六クラスで構成されているこの高校は、三組までを前半クラス、四組からを後半クラスとひとまとめに呼んでいる。去年二組だった俺はいわゆる前半クラスで、後半クラスについての情報はあまり持っていない。    なので前半クラスは時折見掛けるその春日先生を見た目からの印象で「スパルタ系美人教師」と呼んでいたと言うただそれだけの話しだ。   「じゃあ、配るから」    時間は鐘が鳴るまでと言ってから、先生はプリントを配布する。  ここまできてしまえばもう文句は言えない。先生が全ての列へ配り終えた頃には、先ほどまでのブーイングは嘘のように静まりかえっていた。    不平不満は多々あれど、やらなければきっと成績に響く。どんな無様な結果になろうとも、せめて一問だけでもという悪あがき精神で動く鉛筆の音だけが教室に響き渡った。         「みずきぃ……どうだった?」    テスト終了後、俺は疲労と脱力とで机に突っ伏しながらだらしない声で瑞希へ手応えを聞く。   「どうって、何とかなったんじゃん?」 「チクショー、天才肌め」 「あんたは駄目だったみたいだな」    図星を指されうるさいと反対方向へ顔を向けて拗ねる。   「荘野、暗っ」    すると今度は斜め後ろに座る戸田奈々枝(とだななえ)が冷やかす。    戸田とも今年初めてクラスになったのだが、彼女も彼女で名前だけは聞いた事のある人物だった。   「そう言う戸田は出来たのかよ」 「出来たに決まってんでしょ? 数学は得意中の得意ですから」    胸を張る戸田だったが、次の瞬間にはがっくりと肩を落とす。    
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