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力富は激怒した。かの開智のボス池嶋を排除しなけれはS類がのさばってしまう。
力富は単身S類職員室に乗り込んだ。しかし、他の教員に取り押さえられてしまった。力富は池嶋の前に引き出された。懐中にB類と印字された生徒証が見つかり騒ぎが大きくなった。
「B類の分限でS類職員室に入るとは身の程を知りなさい。」
池嶋は力富に吐き捨てた。
「S類以外の生徒がS類職員室に入ったら、退学だ。」
池嶋は冷たく言い放った。
「ここに来たからには何か言いたい事があったんでしょ。ま、聞いてあげてもよろしくてよ。」
「お前のような教師がいるから開智はダメになるんだ。ここに来たときすでに退学の覚悟はしていた。ただ……」
力富は黙り込んだ。そして一呼吸置いて話し出した。
「ただ、一つだけ願いが叶えられるとしたら、3時間でいい。3時間でいいから自由にしてくれないか。犬に餌を与え忘れたんだ。3時間もあれば犬に餌をあげて戻って来られる。」
池嶋は言った。
「嘘をつけ。そう言って逃げる(?)なんだろ。S類以外の人間は信じられないわ。」
「嘘ではない。必ず戻って来る。約束で森しゅんを身代わりにしよう。もし時間通りに帰って来なかったら変わりに森しゅんを退学にさせろ。彼から分かってくれる。」
(B類の言うことは信じられないわ。だって下層の人間じゃない。しかも眞鍋クラス……。でもこれでコイツが帰って来なかったら、A類の森しゅんを退学に出来る。S類の生徒達にもA、B類の人間が信じられないと分からせられるわ。)
池嶋は一人ほくそ笑んだ。
「いいわ。三時間だけ待ってあげるわ。でも三時間たっても戻らなければあなたの身代わりを退学にするわよ。」
池嶋は言った。
「いいだろう。もし俺が戻らなければ彼を好きにしろ。」
力富は言い返した。
校内放送で森しゅんが呼び出され力富は事情を告げた。
「必ず戻る。だから信じてくれ。」
力富は森しゅんに言った。森しゅんは無言で頷いて互いに抱き合った。
「財布は置いて行きなさい。」
力富は指示に従った。
「乗り物を使ったら、喩え間に合っても二人とも退学よ。」
池嶋は言った。
力富は走り出した。
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