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力富は校門を出た。真っ直ぐ自分の市に向かって道路を走った。三時間もあれば余裕だろう。力富は客観視していた。走りながらでも口笛を吹いて。
踏切をわたり、信号を越え、橋から叫び、力富は家に辿り着いた。
犬はお腹を空かせて待っていた。すぐに力富は犬に餌を与えた。
少し休もう。彼はそう思い、焼きそばを食べた。
そうこうするうちに30分が経過した。しまった。力富は思った。これでは帰りを急がねばならなくなってしまった。
力富は家を出た。元来た道を戻ればいい。そう思っていた力富は橋について愕然とした。
「開智生はこの橋を渡るのをご遠慮下さい」
橋にはそう書いた看板と警察官が二人立っていた。
おのれ池嶋、間に合わせまいとしてこんな小細工を。
力富は地団太を踏んだ。別の橋を渡るにも遠回りになるしそんな時間もない。力富は目を瞑り三つ数えた。
次の瞬間、力富は川に飛び込んだ。周りの人は驚いて橋の下を覗き込んだ。
力富は川を泳いだ。服が水を吸って重くなる。自然力富は溺れそうになった。やむを得ず力富はブレザーとズボン、革靴と靴下を脱いだ。
どうにか向こう側についた。悲鳴が聞こえた。しかし力富は構っていられなかった。またすぐに走り出した。大分時間をロスしたな、そう考えながら力富は走った。
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