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(おーい、俺を忘れてませんかー)
慶は心の中で呟いた。
するとチビッコの方が慶に気づいたらしく、こちらをジーッと見ている。
そして
『ねぇ、水樹お姉ちゃん、この人…誰?』
『えっ?ああ、彼は慶って言って…………あっ!』
水樹は、しまった!という様な顔をした。
『えっ?……………彼?』
『……………!』
慌てて話を逸らそうと水樹がしゃべる。
『さ、さぁ、早く行こうかっ!暗くなる前にね!ぱっぱと済まそうよ!』
が、余計に不自然だった。
『……………水樹。』
『………水樹お姉ちゃん。』
二人ともジーッと水樹を見つめている。
しばらくして水樹が観念した顔して言った。
『………そ、そうよ!慶はオスよ!オス!これで良いでしょ!早く探しにいこっ』
『『本当に!?』』
二人揃って驚いた様子を見せた、そして歓喜の表情になった。
『あ、あのー…』
やっと話かけるタイミングをつかめたのか慶が口を開いた。
『はいっ!なんですか!』
慶の言葉にチビッコの方が素早く反応した。
『君たちは?』
『あっ、自己紹介がまだでしたね。私は流牙カリン、水樹お姉ちゃんより2つも若いよっ』
てへっ、とカリンが可愛らしく笑う。
その可愛らしさに慶の顔が思わず緩む。
『あのー。わ、わたしは流牙カレンと言います。水樹とは幼少の頃からの友達なんです。も、もしよろしければ今度…家にいらして下さい。』
そう言ってカレンはもじもじして俯いてしまった。
『ははっ、よ、よろしくね。』
(二人とも美人だなぁ、カリンは愛いし、カレンはなんか癒される~)
と慶がなんともいえない緩んだ顔しながらしみじみしていると、後ろからトーンの低い声が聞こえてきた…
『慶……』
『ん?なんだ、水樹?って……ひ、ひぃっ!』
慶は夜叉の様な顔した水樹に心底ビビった。
『み、水樹?どうかした?』
『………ふんっ!知らないっ!行くよ、二人とも!』
水樹は慶をあからさまに無視して羽をバタバタとイラつかせながら歩き始めた。
慌てて慶とカレン、カリンの三人は水樹の後を追った。
こうして四人はあわただしくも村の裏の方へ美佳たちらしき人を探しに出発した。
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