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そして………………
『なぁ~、いつまで歩けばいいんだよ。』
慶が力無く言った。
まぁ、それも解らなくもない、ナゼなら目的地の山に入ってから一時間近くなる。
しかも、悪いことに水樹がさっきの事でご機嫌ナナメでずっとはや歩きなのである。
さらに、慶は休みたくても女の子三人いて、男の自分が最初に休みたいとはなんとも言いづらいのである。
(ヤバい喉まで渇いてきやがった、あぁ~少しでいいから休みてぇ~!)
慶の体力は限界に達しようとしていた………が、
『ねぇねぇ、水樹お姉ちゃん、少し休憩しよ~、カリン疲れちゃった。』
というカリンの発言によって救われた。
『ん~、そうね。少し休憩しましょ。』
『あぁ、助かった~。なぁ、喉乾いたんだけど飲み物とかないかな。』
『しょうがないなぁ。じゃあ、上空から探してあげるから少し我慢して。』
そう言って水樹は飛び立った。
『あのー、慶さん?』
カレンが何かを思い出したかの様にたずねてきた。
『ん?なんだい、カレン。』
『今私たちが探している人は慶さんと同じ属性で同じ種族なのですか?』
『えっ!……う~ん、そうだね多分同じだと思うけど。』
『じぁ、近くにいますね。さっきから似たような匂いがします。』
『えっ?匂い!?』
(何言ってるんだ?カレンは?)
慶がカレンの言葉に理解不能になって考え込んでいると
…クンクンクン。
『わ、わぁ!?な、何やってんのカレン!』
…クンクンクン。
『って、コラッ、カリンまで!』
そう、カレンとカリンは慶に接近して体の匂いをかいできたのである。
そして、二人の鼻先は徐々に首筋へと近づいてきた。
…クンクンクン。
だんだんと何やらニオイがしてくる。
そう、それは女の子特有のニオイ……いわゆるシャンプーのニオイってヤツが慶の鼻と脳を刺激する…
(うわぁぁ、すごいイイ匂い…た、たまらん!極楽の天国がヘブンで最高だ~!)
と、意味不明な事を心中で叫びイイ匂いを堪能していると、カレンとカリンの二人はパッと鼻先を離し、意外とあっさり慶の言う「極楽の天国がヘブン」とやらは夢と消えた。
カレンとカリンは顔を見合わせて言った。
『やっぱり近くにいる。』
『うん!近くにいるね。』
『えっ?近くに美佳たちが?』
『わからないわ、けど、慶さんと同じ種族のニオイがする…』
カレンがそう言った瞬間…
…………ガサガサガサッ…
『『………!』』
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