1117人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
最初は勢いで飛び出した姫子(=狩夜)が優勢であったが、時間がたつにつれ逆に劣勢になっていった。
『ほらほら、姫ちゃん最初の勢いはどうしたの?』
『く、くそっ!』
姫子が憎たらしそうにその女を睨み付けたが、すぐに何かに気付いた様な顔して周りの木を自慢の爪で斬り倒していった。
『あらあら、血迷っちゃったのかしら?』
その女は愉快といった表情をした。
すると、姫子はピタッと動きを止めた。
『ふふふ、覚悟出来たようね。捕まえてじっくりイジメテあげるっ!』
そう言ってさっきの三倍もの量の糸を姫子に向けて放った……がそれが自分の敗因となることもしらずに…
『今だ!水樹っ!』
姫子がそう叫ぶと急な逆風がその女を襲った。
『え?ヤバいわ!き、きゃぁ~!』
案の定、その女は自分の放った大量の糸により見事に自滅したのである。
『うそ~ん!信じらんない、悔しい~』
『姫子に気を取られすぎなのよ。』
水樹が空から降りたちながら言った。
そしてすぐにカレン、カリンに付着している糸に探してきた飲み水をかけた。
すると糸の様なモノはあっという間にとけてなくなった。
『わぁ、ありがとう!水樹お姉ちゃん!』
『助かったよ、水樹。』
『どういたしまして。カレンもカリンも災難だったわね。』
水樹がそう言っている間に姫子と慶は自滅したその女のもとへ行った。
『貴様、よくもバカにしてくれたな!』
『まぁまぁ、落ち着いて、姫子。』
『慶までその名で呼ぶな!』
『別にいいと思うよ。可愛い名前で俺は好きだよ。』
『なっ!』
姫子は顔を赤らめて
『け、慶がそう言うなら……』
と言ってさらに顔を赤くした。
『そうだ、姫子。どうしてココに?』
『慶をつけていたからな。やはりオスだったか。しかし、このニオイはそれだけではないな…』
『そんな事より…』
『ああ、わかっている。慶たちが探している者のことだな。』
『うん。』
『なら、話は簡単だ。』
そう言うと姫子は目の前にいる自滅した女を睨み付けて言った。
『おい、貴様!知ってるんだろ!案内しろ!』
『知ってるけどタダで教える訳ないでしょ?』
『死にたいのか?』
姫子の爪が光る、
『……わ、わかったわよ』
『水樹、探し人の居どころが多分わかった。』
『本当?じゃあ早く行きましょ。何か疲れちゃったわ。』
こうして、慶たちは今度こそ確かな?情報を得てその女の案内に従った。
最初のコメントを投稿しよう!