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慶たち御一行が終始無言で歩いていると、慶がふと口を開いた。
『あのさっ、お姉さんって一体何者なの?』
案内役のさっきまで敵として戦っていた女に尋ねた。
『ふふふっ♪、あたしの事、そんなに気になる~?』
『え?あ、いや……』
色っぽい艶かしい口調で答えるので、慶は照れて押し黙ってしまった。
すると慶の背筋に何やら悪寒がはしる
……ギロッ!…
『ひぃぃっ!』
悪寒の正体は両隣りにあった。
右には水樹が、そして左には姫子が…タブルで慶を睨み付けている。
そんな様子をみてその女は言った。
『あらあら、モテるオスはたいへんね~。そうそう、あたしの名前は 赤瀬 綾。この辺じゃちょっと有名な情報屋よ♪』
『へぇ~、って事はドコからか美佳たちの情報をしいれたんだね!』
『違うわ。』
『え?じゃあどうして?』
『私のトラップにかかったのよ。それに、一応言っとくけどトラップにかかった女の子があなたたちの探している子とは限らないからね。変に油臭かったし。』
『油臭い?』
慶は少し考えてみた、この変わった異世界にくる前の事を……
(確か美佳のやつ、初詣行く時ギリギリまでバイクいじって作業服のまま来てたな)
『綾さんっ!その子、多分俺たちの探している子です』
『あら、そうなの?じゃあ急ごっか。』
『はい。ところで綾さんって身軽で白い玉だしたり、糸を放ったり色々できて奇術師みたいですね。』
『当たり前でしょ!わたし蜘蛛だし。』
『へ?蜘蛛?』
『そうよ。わたしは虫属性の種族 蜘蛛だから。ビックリした?抵抗ある?蜘蛛ってあまり好かれないのよ。虫属性の中でもはじかれてるし…… 』
『そんな事ないですよ。俺、虫とか結構興味ありますし…』
『ふふっ、ありがとう。優しいのね』
『俺はただ生物みんなが好きなだけですよ。』
『じゃあ、今度友達呼ぼうかしら。かわいいオスがくるなんて言えばみんな絶対くるわよ。』
『機会があればお願いしますね。こっちの文化に興味あるし』
意外と話がかみ合い楽しげに話す慶と綾。
後方の真っ暗な空気に包まれた人たちを尻目にして…
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