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そして、村に着いた頃には辺りは暗くなっていた。
しかし、村は灯りに包まれていて昼間来た時より何かにぎやかそうだった。
慶たちは長老キミナのいる教会へ行くと心配そうな顔した長老が出迎えてくれた。
『遅かったのぉ、心配したぞ。』
『ははは、途中で綾と会っちゃってね…それで時間くっちゃって……』
『なんと!またあの娘か!けしからんヤツじぁ!』
『でも、綾のおかげで見つける事が出来たんだよ。』
『それで、逃げ出した娘は無事か?』
『うん、姫子がかかえてる。』
『おおっ、狩夜家の娘も手伝ってくれたか、感謝するぞい。』
『別に手伝ったつもりはない。そんな事よりこの女をどうすればいい?』
姫子はさっきからかかえ持っているお荷物の置き場を求めた。
『そうじゃのぅ…教会はもう閉めるし無用心じゃからのう………』
長老は困った顔をした。
『水樹の家はダメなの?』
慶が水樹に尋ねると
『別にダメじゃないけどもう暗くて、とてもじゃないけど夜行性の種族じゃなきゃ飛べないわ。』
慶は『なるほど』と、水樹の最もな理由に 相づちをうった。
『じゃあ、カリンの家に泊まればいいよー!』
唐突にカリンが叫んだ。
『そうね、私たちの家なら部屋もたくさんあるし。』
カレンが妹の後に続いた。
『いいの?』
水樹が聞くと、
『当たり前よ、それにいつまでもそこの狼さんに彼女を持たせとく訳にいかないでしょ?』
カレンがそう言うと
『じゃあ、き~まりっ!みんなカリンの家でお泊まりだよっ!』
カリンは嬉しそうにそう言って慶にとびついた。
『うわっ!カリン、びっくりするじゃないか。』
『えへへ、だって嬉しいんだもーん。』
はたから見れば微笑ましい兄妹みたいに見えるが、水樹・カレン・姫子の目にはそうは映らなかったみたいだった……
『慶!早く行くよ!まったく!』
『カリンっ!いきなりとびつちゃダメです!慶さんが迷惑でしょ!』
『慶っ!さっさと行くぞっ!!』
と三人の罵声を浴びながら慶は『やれやれじゃな…』と呆れながら事をみていた長老に夜の挨拶をしてカレン・カリンの住む流牙邸に足をはこんだ。
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