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そんなこんなで流牙邸に着いた慶たち。
カレンとカリンが先に家の中に入って数分してからカリンのはしゃいだかけ声で中に入ってった。
すると、玄関には旅館の若女将みたいな女性が出てきたので
『ど、どうも。』
『こんばんは。』
『失礼する。』
慶と水樹、姫子は挨拶すると
『話はカレンたちから聞きましたよ。よく来てくれたわね。』
そう言って彼女は家の中へと招き居間というより宴会場みたいな部屋へと案内してくれた。
部屋には大きなテーブルがあり、その上には美味しそうな料理が並べてあった。
そして、はじっこには簡易ベッドがある。
姫子はその簡易ベッドに美佳を寝かせ「あー疲れた。」と露骨に言うとテーブルの前に座り目の前にある肉料理の一つをつまんで口へと放り込んだ。
『おか~さん!鍋が~!
』
どこからかカリンの声が聞こえると案内してくれた女性は「あらあら、大変。」と言って急いで声の主のもとへと部屋を出ていった
。
その後を「おばさーん、私も手伝います。」と水樹が後を追った。
『あの女性はカレンとカリンのお母さんなんだ…』
慶が呟いていると
『慶。お前も食え。』
と隣にいる姫子が食いなが言ってきた。
『行儀悪いぞ、姫子。ご飯つぶ付けて。』
『えっ?』
姫子があわてて口の周りを触ってると
『ほらっ、ココだよ。』
『あっ!?』
慶はなかなか見つける事が出来ない姫子をじれったく思い、姫子の顔に手を伸ばし、ご飯つぶを指先に取りそのまま自分の口に運んだ。
すると姫子は顔を真っ赤染めて慶の方をみた。
『ご、ごめんっ!ついつい…』
慶がすまなそうに言う。
『べ、別に嫌じゃ……』
(慶のヤツ、やはり私の事が………よ、ようしっ!)
姫子が何やら心の中で決意すると
『な、なぁ、慶?』
『ん?なに?』
『あ、あのさっ、名前の時といい、今のご飯つぶの時といい…そ、そういう事をするということは…お、お前は……そ、その……』
姫子は目を合わせずに、モジモジしながら続ける。
『つ、つまりだな……わ、私の事を…』
『私の事を?』
慶は姫子の心中を悟ることなく平然と聞き返す。
(ええいっ!鈍感なヤツめっ!)
姫子は苛立ったがココで止めたらさっきの決意が無駄になるし、それよりも慶の気持ちをどうしても知りたいので自分自身を奮い立たせ続ける事にした………顔を真っ赤にしながら。
『だ、だからっ!…そ、それは…………私の事がすき……』
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