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『えっ!そ、それ本当?』
美佳が少し顔を赤らめて言った。
『本当だって、嘘言ったってしょうがないだろ』
『そ、そうだよね』
そしてまた、一層顔を赤らめた。
確かに美佳はショートカットで、ボーイッシュな感じだが結構美人なのである。ちなみに学校ではよく女の子からラブレターをもらうらしい…。それはともかくおいといて、今度は鏡華を見た。すると彼女は待ってましたと言わんばかりのまぶしい笑みで慶を見つめてきたのでとりあえず晴れ着姿を誉めてあげる事にした。
『鏡華ちゃんの晴れ着姿とっても可愛くて似合ってるよ』
すると鏡華は慶の腕にしがみつき、
『ありがとう☆』
そして、上目遣いで
『慶兄、大好きっ☆』
と言ってきたのである。
鏡華の思わぬ妹っ子攻撃に不意をつかれ慶は顔を赤くしていると、これまた不意に背中から激痛が、
『いってぇ~』
振り返ると不機嫌そうな美佳がいた。
『何すんだよ!』
『知らないよーだ』
美佳はそう言うと鏡華と慶の腕を引き剥がした。
『なにすんのよ、お姉ちゃん!』
鏡華がわめくと美佳が
『着物がシワになるでしょっ』
と言い、鏡華はしぶしぶ納得したが
『本当は羨ましいくせに…』
『何か言った?』
『べつにぃ~、何も言ってないよぉーだ』
あぁ、なんか気まずい雰囲気になってきたなぁ、と原因は自分ということに気付かず困っていると、意外にも美佳から話かけてきた。
『そう言えば慶って合気道昇段したんでしょ、おめでとう』
『あぁ、ありがとう』
今度は鏡華が
『これで慶兄は四段だね』
ニコニコしながら言った。
『まぁ、とりえは武道しかないしな。鏡華もライフル射撃の世界大会で優勝したらしいじゃないか』
と言いながら鏡華の頭を撫でてやると
『えへへっ』
と可愛く笑った。
そうこうしている間に神社に着いたのだが…
『うわぁ…人多すぎ』
『本当ね…』
『お姉ちゃん、慶兄、はぐれないように手繋ごうっ』
『そうだな』
そう言って慶は美佳と鏡華の手を握った。
『あっ』
『ん?どうかしたか美佳?』
『う、ううん、何でもない』
そういって美佳は顔を赤くして静かになった。
(う~ん、それにしても人が多いなぁ、あぁ眠いな~)
と考えているといつの間にか慶たちの番になっていた。
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