再会と難問

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すると、さっきから黙り込んでいた姫子が突然口を開いた。 『じゃあ行こうか、慶。』 『へ?』 慶が間抜けな声を出した。 そして今度は水樹が 『あんた、正気なの?』 そう姫子に問いかける。 『ああ、正気だ。なんだか非常に興味深い話だしな』 『だけど……』 水樹やカレンが悩んでいると、不意に図書室の入り口から声がとんできた。 『行ってくるといいぞぃ。』 『『キ、キミ婆!』』 『長老さん!』 一同、声を上げた。 そう、声は長老キミナのものであった。 そして、長老は続けて言った。 『話しはだいたいカリンから聞いたぞぃ』 (そういや、カリンの姿がさっき見当たらなかったのは長老と話してたからか…) 『それで、慶とやらの故郷……過去の世界への手掛かりを探しに行くんじゃろ?』 『ああ、そうだ』 姫子がキッパリと言った。 『ちょっと、なに勝手に決めてんのよ!』 水樹がそう言うと 『別に水樹についてこなくていい。私と慶、美佳にカレンとカリンで行くから。』 『なんでそうなるのよ!……分かったわよ!行くわよ!』 水樹のその言葉を聞いて姫子は含み笑いをしていた。 (姫子のやつ……上手く水樹を釣ったな) 『そう言う事だ、長老。私たちは明日からタージュ・シティに向かう……』 と姫子が話していると、カレンが申し訳なさそうに 『ごめんなさい。姫子さん、私は行けないわ。来週から流牙家は北国イジャース・シティに研修を兼ねて旅行にいくから……』 『む……そうか。残念だな。』 そして、さらに長老が 『あと、残念じゃが、カリンと美佳とやらは村に残ってもらうぞぃ。』 その発言に美佳とカリンが猛烈に反対した。 『なんで、私が行っちゃダメなのよ!』 『カリン、お兄ちゃんたちと一緒にいく~!』 しかし、長老は横に首を振った。
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