1117人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
『どうしてですか?長老。』
慶が長老に聞いてみた。
『まず、カリン。お前はまだまだ幼い、子供じゃ。何か敵やらに襲われては水樹や狩夜家の娘のように対応出来ないし足手まといになるじゃろ。』
『むぅ~。』
カリンは押し黙ってふくれた。
『次に美佳とやら。おぬしもなんの属性かもわからぬメス、カリンと同じで足手まといになる。それに、おぬしらの過去の世界について詳しく教えて欲しいのじゃ』
『………。』
美佳も押し黙った。
なんとなく、気まずい雰囲気になりつつあったが
『美佳、ここに残って俺たちの世界についてしらべてくれないか?』
慶が唐突に言った。
『え?…慶は私がいなくていいの?私は嫌!やっと再会できたのに……。また一人ぼっちじゃ………』
美佳は泣きそうな声で話した。
すると慶は
『美佳。俺だって美佳といたい。でも、冷静に考えてみてくれ、俺と美佳がこの異世界にいるということは………』
そう言うと美佳はハッとした顔をして言った。
『鏡華!』
『そう、鏡華もいる可能性が高い。それに俺たちはこの村の近くにとばされたから、恐らく鏡華もこの近くに……。もし見つかった時に俺か美佳がいれば鏡華が安心するだろ。』
『…そうだね。分かったよ、慶。』
美佳は納得した。
すると……
クイクイ
カリンが美佳の服を引っ張って少しふくれたまま言った
『美佳お姉ちゃん、一人ぼっちじゃないよ、カリンたちが一緒だよ!』
『ありがとう、カリンちゃん。』
美佳はそう言うと、柔らかい表情を見せながら、優しくカリンの頭を撫でた。
『どうやら、話はついたようじゃな。ならば明日、もう一度この教会の前に集まり、それから出発するのじゃ。そうと決れば、ほれほれもう解散じゃ』
長老にそう言われ、慶たちは教会をひとまず出た。
最初のコメントを投稿しよう!