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長老たちに見送られ数時間…慶と姫子は水樹に乗って上空を飛んでいる。
『なぁ、慶。少し尋ねたい事があるんだが…』
姫子が自分の後ろに居る慶に話しかけた。
『何だい?姫子』
『慶、おまえは何属性で種族何なんだ?』
『えっ!……そ、その』
(また、この話か……)
慶は少し困った。
『俺も何だか分からないというか人間だし……じゃあ、猿とか……』
『猿?そんなニオイはしないが…』
『ニオイ?』
『ああ、ニオイだ』
『ニオイで分かるんだ?』
『当たり前だ』
『へ~、じゃあさ、姫子。カレンとカリンは何属性なの?』
『分からないのか?犬属性だぞ。ちなみに水樹は鳥属性だ』
『犬属性なのか。まぁ何となく分かるな。水樹は分かるよ、前に説明してくれたから。じゃあ、姫子は何属性?』
『む、私か。私は狼属性だ』
『狼属性ってぴったりだな…』
『慶は猿というより私と似た様なニオイがするのだが…』
『えっ!俺は狼なの!』
『えっ!って何だ!嫌なのか!』
『いや、そーじゃないけど…』
そんな話しをしながらしばらく飛んでいると
カチカチッ、カチッ……
『ねぇ、姫子。歯ぎしり止めてくれない?』
水樹がその音に反応して姫子にそう言った。
『おいコラ、水樹。私じゃないぞ!』
姫子は水樹に反論した。
『ちなみに俺でもないから』
慶も一応言っておいた。
『じゃあ、この音はなんなの?』
カチカチカチッ、カチカチッ、カチッ、カチッ……
『な、なぁ。音が増えてないか?それに大きくなってきてるし…』
『う~む、もしかしたら種族オオスズメバチの縄張りに入ってしまったかも知れん』
『なぁに、心配するな。水樹、もっと上空を飛べ。奴等はそう高くは飛べない』
『ちょっと、命令しないでよ!言われなくたって飛ぶわよ!』
水樹が怒ってそう言って荒立たしく高度を上げたその時、事件は起きた。
『う、うわっ!』
『け、慶!』
『ああぁぁぁぁぁぁ!』
体勢を崩した慶が見事に落っこちたのである。
『慶ぃぃぃぃ!』
水樹が叫んだ。
その時、黄色と黒の模様の何者かが慶の身体を捕らえ、森の中へ飛んで行った。
『ああー、やはり種族オオスズメバチの縄張りだったか』
『ちょっと、姫子!そんなのんびり言ってないで助けに行くよ!』
『待て!今行けば奴等の袋叩きにあう。一度離れて地上に降りよう。助けに行くのはそれからだ。』
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