SS集

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『日曜日と呼ばれる日』    燦々と降り注ぐ陽光を浴びながら吐く息は白く、なるほど現実は詩的なイメージからは程遠いなぁと、現実を張り付ける現実の情景を我が身に照らし、溜め息を漏らしながらアクセルを踏む。    いつもならスーパーのタイムセールよろしく定刻に列を成す、寝呆け眼のサラリーマンは今頃、念願叶ったりと夢の中でしたり顔を浮かべているに違いない。淋しい大通りがそれを物語っている。おかげで煙草を一本吸いきれなかった。    小学校から流れてくる子供たちの喚声は単調な作業に節を付けるが、静まり返った学舎はメトロノームを加速させる。    陰欝な気分を増幅させる、いつもと変わらぬ赤い日は、それでも異なる雰囲気を醸し出し、申し訳ないのか焦り気味にページを捲った。   08/1/9
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