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返歌『アイズ』
凍り付く静寂の中、男は双眸を見開いた。瞳に映る、蠱魅的で煽情的な瞳。見る者全てを淫蕩の底に引きずり込む魔性の眼。
男は柩を抉じ開け、地上に這い出る。蒼白い月明かりが、男の容貌を照らしだす。
落ち窪んだ眼、痩け落ちた頬、けれどその瞳には地獄の業火が宿っていた。
全てが新しい。赤子のような気分だ。男は喜びに打ち震えた。
噛み殺した笑いが夜気を揺らす。やがてそれは膨れ上がり、闇をつんざいた。
喰ライ尽クシテヤル……アノ瞳ゴト
08/2/1
※ これは筆者がクリエイターバトルで敗れた際、勝者、雨宮黄英氏の『太戯丞伝』の設定を使わせていただき、筆者の心情を描いたものです。
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