序章

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(なんて運がいいんだ。まさかこんな物を拾うとは……。) あまり長くはない刀、よく見ると脇差しのようだ。装飾もたいしてされておらず、価値は無く切れ味も良くないナマクラ刀だろうが、それでもこの状況では最高のアイテムだった。 「どれどれ……刃のほうは………うわぁっ!!?」 鞘から刀を抜いた男は、刀身を見て驚愕した。 刃には赤い血がベットリと付着し、固まっていたのだ。男は慌てて固まった血を手で擦り落とし、刀を鞘に納めた。 (恐ろしいものを見たが……さて、何処に向かおうか……。) 多少動揺しつつも、男は先に進もうとした。何処に進もうか、という男の迷いとは裏腹に、足は勝手に動いていった。まるで目的地がわかっているかのようにスラスラと足が進む。 男は刀で木に傷を付け、邪魔な草を薙ぎ払いながら、勝手に進む足に引っ張られるように進んでいった。
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