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彼は私の初めての恋人だった。
そして、初めて身を捧げた人でもあった。
彼はとても優しい人だった。
けれどとても浮気性な人で。
女性関係に無頓着な彼は、女性といる事に忙しくしてる人だった。
おかげで私は彼に逢う事もままならず、枕を濡らす夜を幾度となく過ごした。
それでも私は彼を信じていたし愛していた。
初めて愛してるって私に言ってくれた人だったから。
けれど……。
「すまない、君の事が好きじゃなくなったんだ。もう君には逢えない」
久々に会いに来てくれたと思ったら、彼はそう私に言い捨てた。
私は信じられなくて、一瞬自分の耳を疑った。
聞き違いではないかと。
けれど彼はそんな私にもう一度、私には逢わない。
私をもう愛してないと繰り返した。
「嘘でしょう?だって……私は貴方を信じてたのに……こんなにも愛してるのに」
今にも泣きそうな私の声。
か細くて、かすれていて、震えてて……。
でも彼はそんな私にはもう一瞥もくれないまま、いなくなってしまったのだった……。
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