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煌々と、辺りを照らし出す月明り。
その下をまるで雪の様に儚く白い桜が、ひらひらと風に舞っていた。
あまりにも美しい光景。
そんな此処は私の家の庭だった。
桜が植えられた、家よりも広い庭。
私はこの庭を見ながら、家で彼を待っていた。
「なんの用かな?僕に話しって」
彼が来た。
私は思わずパッと顔をほころばせる。
「話よりも何よりも、まずこれを見て欲しいの」
玄関にいる彼の手をとって、私は彼を庭の桜の元へと連れて行った。
「な……う……うわぁぁぁぁっ!!」
桜の樹の根元には沢山の女の死体。
みんな、彼と関係を持った女だ。
「ねぇ、これで私だけを愛してくれるわよね?」
私は彼を見上げて笑った。
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