…begin

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動く! 手も足も体中全て。 だが、耳なりがする…。 くそっ、頭が痛い。 視界はぼんやりとして、まだよくまわりが見えない。 オレは横たわっていたその場所で、ゆっくりと体を起こし、あぐらをかくような体勢になった。 しばらく、うつむいたまま頭の痛みに耐えた。 そうしているうちに、少しずつではあるが視界も良くなり、頭痛も治ってきた。 視界が良くなってきたところで、まわりを見渡してみることにした。 すると、そこは何もない真っ白な部屋で、部屋の中央には診察台のようなものがある。 オレはそこに寝ていたようだ。 格好は、黒いスーツのズボンとワイシャツを着ていて、さらに黒い革靴まで履いている。 名前は思い出したものの、こんな格好をしてる自分の正体が何者なのか、ますます分からなくなってきた。 それにしてもここはどこだ? そこは壁も床も天井も真っ白の空間。 広さは…そう… 目測で5メートル四方といったところだろうか。 部屋に窓は無く、扉がひとつあるだけだ。 とりあえず、そのドアに近寄ってみた。 ドアノブに手を掛け、開けてみることにした。 ガチャガチャ 駄目だ… 鍵がかかっているせいか、ドアノブは動かず扉は開かない。 よく見るとその扉は鍵穴も無く、内側からは開けられない構造になっている。 それでも扉を蹴り破ろうとしてみたが、ビクともしない。 出られないのか?! しばらく、部屋の中をうろうろしながら、ここから出る方法を考えた。
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