一章 入学式及び強制恐怖体験

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    有里は明らかな棒読みで言った。そして渋々と脚を離した。     「まったく……これだから彼氏ができないんだ」     僕は小さな声でつぶやいた。しかし、こんな小さな声でさえ、有里は聞き取ってしまった。     「何ですって?」     有里は怒りのオーラを漂わしていた。そのオーラに、僕は思わず身震いした。     「何でもありませんっ!」     すると有里は呆れた様子で言った。     「亮太も!そんなヘタレっぷり丸だしだからモテないのよ!」     どーせ僕はヘタレですよ。そんなの有里に言われなくても自覚してるさ。 ヘタレだから有里が苛めてくるのもわかってる。     僕は恐がりだし、不器用だし、物事に才能ないし……けして顔もいい訳じゃないし……うん。どっから見てもヘタレだ。
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