一章 入学式及び強制恐怖体験

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    他の新入生を見ると、みんな違う色の花を胸に付けていた。赤に黄色、紫なんかもある。 どういう意味なんだろうと考えようとしたところでチャイムが響き、入学式が始まった。     PTA会長とか、色々な役職の人が同じような話をしていく。 魔法学校だから少しは面白い話をするだろうかと最初はちゃんと聞いていたけど、やっぱり式の話がつまらないのは日本の常識らしく、最後には全く聞いてなかった。 最後に校長の話らしく、スーツを着たガタイのいい人が壇上に上がる。起立、礼、着席。   「校長の話なんか誰も聞かないだろう。学生なんざそれが普通だ。だからとりあえず、この学校の方針を身を持って知ってもらおうと思う」   何の前振りもない台詞に、半分死んでいた体育館の空気が乱れ、ほぼ全員の視線が校長に向かう。 校長は勿体振るように右手を上げ、そして。   「そんじゃまあ、――死んでこい」     僕は屋外にいた。     屋外――というか、森。木が三つで森。 学校という空間ではまず有り得ないような場所に、僕は立っていた。  
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