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美歌の公開試験が終わって2週間後、美歌は国際空港へと来ていた。
そう、今日は陽人がフランスへ発つ日なのだ。
美歌の他には陽人の両親と妹が空港に来ていた。陽人の父は、仕事の関係から陽人と一緒にフランスへ行くこととなっている。そのため、陽人の母と妹が2人の見送りに来ていたのだ。
「美歌…見送りに来てくれたんだ?」
「知秋やサッカー部の皆さんは、試合で来れませんし…陽人さんをお見送りしないと、後悔すると思ったんで」
美歌が見送りに来たことに、少し驚いた陽人が尋ねて答えた。美歌は穏やかな微笑みを浮かべながら、陽人の言葉に返事をした。
気持ちの行き違いがあったとは言え、2人は仮にも元婚約者である。美歌は陽人に好意を持ち始めていた。
だが、それは『恋』の好きではなく『人として』好きという思いだ。陽人はようやくその『好き』の違いに気づき始めたところだった。
そんな中での留学だったため、美歌はようやく互いに余裕を持って話せるようになったのに残念だという気持ちでいっぱいだった。
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