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「このくそガキが!!」
そんな怒号と共に俺の頬に強い衝撃が走った。
まだ十歳の俺の体は簡単に吹っ飛ばされ、薄汚い小屋の壁に打ち付けられる。少し遅れて口の中に血の味が広がり、俺に不快感を感じさせた。
そんな俺を、眼に涙を浮かばせて見つめる妹。心配させるわけにはいかない。だからこそおとなしく頭を下げる。自分のプライドを捨てて。
「すみませんでした……」
「すみませんでしたで済んだら警備隊はいらねぇんだよ!!」
床に這いつくばって頭を下げる俺の脇腹に鋭い一撃。爪先で蹴りあげられた俺は床を二転、三転してから妹の前に俯せに倒れた。
情けねぇな、俺。妹の前でこんな姿晒して……。
だが俺に恥じる暇は与えられない。俺の視界の端に男の足が入ってくる。
「金がないやつに生きる価値はねぇんだよ。………金がねぇならこの女を貰ってくか。散々うちの商品持ってかれたんだからな」
「――――っ!?」
ふざけるな!妹だけは護る!
俺は痛む体に鞭を打ち立ち上がり、妹を護るように両手を広げて立ちはだかった。
「頼む!こいつだけは見逃してくれ!!」
「だったら金を用意しろ!!このクソガキ!!」
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