Pain

4/15
前へ
/23ページ
次へ
 さて、一段落ついたところで自己紹介といこうか。  俺の名はマルス・ローランド。親に捨てられた貧乏少年、双子の妹とその下の妹を護らなきゃいけない悲劇のヒロインだ。  ………いや、俺は男だったな。  酒気に満ちた小さな酒場、そこにある掲示板の前に俺は立っていた。荒れた酒場だからかガキがいても気にしされていない。  この掲示板は賞金首や、町の近辺で暴れる魔物の情報等が貼りだされている。  俺がここにいる理由は賞金首を探すためだ。  そりゃたかだか十歳のガキに首が獲れるとは思ってないさ。けど男にはやらなきゃいけないときがある。このままじゃあいつらが餓死しちまう。  俺は無謀とわかりつつも、近くの洞窟で暴れている巨大な蛇の魔物、ジャオロに狙いを決めた。     そんな俺の耳に賞金稼ぎの世間話が飛び込んできた。  普段なら気にしないだろう。だが今回はなぜか気になった。 「知ってるか?最近この辺りに漆黒の首狩り人がきてるって話」 「マジか!?なら俺は狩場変えるかなぁ」  漆黒の首狩り人………最近有名な賞金稼ぎかよ!  俺ももたもたしてられないな。  俺は男の話を聞き終えると、すぐに酒場を飛び出した。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加