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ダメだ。今行かなきゃ逃げられる。
俺はやらなきゃいけないんだ!あいつらのためにも!
俺は腹をくくり、ナイフの柄を両手で握り締めた。汗で取り落としそうになったが、ズボンで手を拭い、また握り直す。
そしてもう尻尾のほうしか見えないジャオロに向かって、雄叫びをあげながら駆け出した。
俺の声が洞窟内で反響する。同時にジャオロの動きが止まった。
無我夢中で走る俺。目指すはジャオロの尻尾。
だが俺がジャオロの尻尾に辿り着くことはなかった。
急に内蔵が締め付けられるような感覚が俺を襲う。
次に身体が後ろへ引っ張られた。走っていたために内蔵が圧迫される。
胃液が逆流して酸が口にひろがった。それが原因でさらに嘔吐感が押し寄せてくる。
一体何が起こったんだ?
一瞬では理解できなかった。わかることは、今俺の身体が宙に舞って、後ろへ引っ張られていることだけだ。
しばらく浮遊感が続くと、突然尻に強い衝撃が走った。尻から地面に落ちたらしい。
その衝撃は頭にまで響き、鈍痛が身体の軸を襲った。
「なんでこんなところに子供がいる」
突然後ろから声が掛けられた。
後ろを振り向こうとすると、じゃら、と金属がぶつかりあう音が聞こえた。
よく見てみると、俺の胴には鎖が巻き付いていた。どうやらこれに引っ張られたらしい。
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