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「勇気と蛮勇を吐き違えるな。自分の無力さを知れ」
俺は沈黙した。
言い返したかったが、それはできない。俺は自分の無力さを知っているから………。
漆黒の首狩り人は止めていた脚を再び動かし、ジャオロへと歩み寄る。
ジャオロは様子を見ているのか、鎌首をもちあげて漆黒の首狩り人を凝視している。
俺はただ後ろへ下がり、その様を見ていることしかできなかった。
先に動いたのはジャオロだ。
突然顎を開き、漆黒の首狩り人に飛び掛かった。
顎の関節でもはずしているのか、その口は大人でも丸呑みしそうなほど大きく開かれている。
だが漆黒の首狩り人の反応は素早かった。
ジャオロから逃げるではなく、飲みこまれに行くように駆け出している。
だがジャオロが漆黒の首狩り人を飲みこもうというとき、漆黒の首狩り人は体のバネを最大限に使って跳び、ジャオロの鼻先を踏んでさらに跳躍した。
とても十五歳の身体能力には見えない。まさか肉体強化か?
肉体強化というのは、魔力を体の一点に集中させ、筋肉を一時的に強化するものだ。普通の魔術師はあまり使わないが、武闘派の魔術師がたまに使うらしい。といっても使えるのはごく一部の人間のみという話だ。
まあ盗んだ本に載ってたことだから確かな情報のはずだ。
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