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「甘いな」
俺は漆黒の首狩り人が呟いたのを聞き逃さなかった。
漆黒の首狩り人は空中で身を翻すと、袖口から鎖を射出した。
鎖は魔力を宿しているらしく、直線に進みジャオロの首を後ろから絡めとる。ジャオロの動きが止まった。
それとほぼ同時に、漆黒の首狩り人の体がジャオロの首に吸い付くように引っ張られる。鎖は自由自在に動くようだ。
漆黒の首狩り人はジャオロの首に降り立つと、すぐに跳躍して頭に飛び乗った。同時に鎖が袖口に吸い込まれる。
そして今度は両の袖口から鎖を射出して、ジャオロの口に巻き付けた。
口を塞がれたジャオロは、身体をくねらせて暴れ回るが、漆黒の首狩り人は頭から飛び降り、岩影に隠れていた俺のすぐ近くに降り立つ。鎖はジャオロに繋がれたままだ。
「こんなやつに勝てると思ったのか?」
漆黒の首狩り人は横目で俺をちらりと見て、すぐにジャオロに視線を戻した。
俺は漆黒の首狩り人の問い掛けにかぶりを振る。
漆黒の首狩り人の強さを前に、呆然としていたときに突然された質問だ。反射的に素直な答えを出してしまった。
「わけありか………こいつを片付けたら一緒にこい。無理矢理にでも聞き出す」
俺は首を縦に振っていた。
漆黒の首狩り人は横目でそれを確認すると、眼を閉じた。
それと同時に、鎖に視認ができるほど濃い魔力が流れだす。
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