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――苦シイッ苦シイ苦シイッ助ケテ……
苦シイ苦シイヨ
なンデこんなニ苦しいノ……
あア、息をするのを忘レテたんダ――
もがき続けていると、赤く濁った視界が徐々に澄んでいくとともに意識もはっきりとしていく
紅い霞が晴れ、目の前にいたのは
「沙夜っ!無事だ、え…っ‥‥」
口許から顎先へと一筋の紅を垂らす沙夜
なにが起こっているのかまだ判らないけど、いまわかることは
妙に身体がアツい
嫌に身体が火照る
両手が痛い
頭が割れそうなほどに鳴り響く耳鳴り――
すると彼女の口許から赤い雫が落ち、それを追って自然と視線が下へと向かう
そこには彼女の胸部を貫いた彼女の血に濡れ、赤々と妖しげに光る鋼
それを持つは、8本の爪が柄に食い込み、手の平からは血が滲むほどに硬く握っていた自分――
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