プロローグ

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くろい、くろいうみのなかで、ぼくはめざめたんだ     そのなかは、ぼくにとってここちよくて、ずっと、ここにいてもいいかなっておもった     でも、なんだかそとにでたくなったんだ     ほんとうに、なんとなく、もうこのくろいうみのなかにはもどれないとしっていたのに……………………                             「起きたか、小僧」     木の上から聞こえた声に、アルは顔を上げた     そこにいる一羽のカラス、レイブンを見て、アルは眠そうに笑う     「おはよう、レイブン」     レイブンは、アルの隣に移動して、アルの顔をのぞきこんだ     「うなされておったぞ?」     アルは、少し目をふせて、寝言でも呟くように言った     「夢を、見てたんだ……………僕がまだ、黒い膿の中にいた頃の夢を、その中から、僕がこの世に産まれ堕ちる前の夢を……………」     「ふむ、例の黒い海の夢、か………まぁよい」     「うん、そろそろ行こう」     アルは立ち上がり、近くにある髑髏の飾りの着いた大鎌をかついだ     「今度こそ、僕の居場所は見付かるかな?」     アルは一人、レイブンに聞こえない程小さな声で呟いた。image=126154650.jpg
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