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くろい、くろいうみのなかで、ぼくはめざめたんだ
そのなかは、ぼくにとってここちよくて、ずっと、ここにいてもいいかなっておもった
でも、なんだかそとにでたくなったんだ
ほんとうに、なんとなく、もうこのくろいうみのなかにはもどれないとしっていたのに……………………
「起きたか、小僧」
木の上から聞こえた声に、アルは顔を上げた
そこにいる一羽のカラス、レイブンを見て、アルは眠そうに笑う
「おはよう、レイブン」
レイブンは、アルの隣に移動して、アルの顔をのぞきこんだ
「うなされておったぞ?」
アルは、少し目をふせて、寝言でも呟くように言った
「夢を、見てたんだ……………僕がまだ、黒い膿の中にいた頃の夢を、その中から、僕がこの世に産まれ堕ちる前の夢を……………」
「ふむ、例の黒い海の夢、か………まぁよい」
「うん、そろそろ行こう」
アルは立ち上がり、近くにある髑髏の飾りの着いた大鎌をかついだ
「今度こそ、僕の居場所は見付かるかな?」
アルは一人、レイブンに聞こえない程小さな声で呟いた。
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