二節

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アルがゆっくりと大鎌を構える     グエンが大剣で防ごうと構えた瞬間、アルはグエンの懐(ふところ)にいた     周囲の者達が皆息を飲む     また一人、あの少年による犠牲者が――――――――         「さよなら」 と、アルが呟いて大鎌を振ろうとしたその時…………                             「シャイニングファンタジー2023!!!」     いつの間にか兵士の腕から脱け出したエリザの謎の技名が響いた     エリザの謎の技名の着いた、ただの飛び蹴りをくらったアルの小さな体が宙に舞い、手から放れた髑髏の大鎌がカランと地面に転がる     ドサッ、と音をたてて倒れるアル…………見ている町人達が状況を理解出来ていないかの様に静まりかえる     やがて、アルがよろよろと起き上がり、町人達がこれから起きるであろう惨劇を想像して震え上がった         「い、痛いよエリザさんっ!な、なにするの?」     しかし、町人の想像とまったく違う雰囲気のアルが、目に涙を浮かべながら弱々しく呟いた。
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