二節

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「なんと強引な………」     深い森の中、呆れた様にレイブンは呟く     大柄で、大剣を背負った男を担いで走るエリザの体力にも驚かされたが…………     「うっさいスケベ鳥、いいじゃん、グエンなんだかんだで着いて来てるし」     意識を取り戻したグエンが、エリザ達の後方を歩いている     レイブンは、グエンを見て再びエリザに向き直る     そして言った   「お主、正義の味方の団体を創る気が、本当にあるのか?」     殺し好きのアルと、戦い好きのグエン…………レイブン的には正義とは実にほど遠いいタイプだ     無論、エリザもまったく正義の味方らしくないが     「ん~………まぁ、力無い正義は無力って事で!」     あっけらかんと笑うエリザを見て、レイブンは頭痛を憶えた           「え、えと、グエンさん、む、無理についてこなくても大丈夫だと思いますよ?」     戦っていたさっきまでとはまったく雰囲気の違うアルを見ながら、グエンは本当に同一人物か?と疑いそうになる     そして、目の前を歩くエリザとレイブンを見る     「あの女に負けたってのは本当か?」     グエンにそう聞かれて、少し返答に迷ったが、アルは一応頷いた     なんだかエリザさんには逆らえないし、戦わずして負けてるから負けてるんだろうなというのがアルの考えだ     「…………へぇ」     エリザの本当の目的が、世界征服だと聞いて噴き出したが、面白いかもなとも考えた     「しばらくは、着いてってやるよ」     グエンはそう呟いた     近くにいれば、いつか再戦出来そうだしな                               ――――闇と光に出会った燃え上がる極炎の剣は、その渦の中に身を置いた――――                       ―――――――――――二節、完
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