三節

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「う、うぐぐ、め、めっちゃ痛い」     よろよろと立ち上がるエリザを、グエンが呆れた様に眺めている     余談だが、階段からころげ落ちた割に、エリザに大した怪我は無い     「たく………なにしてんだよてめぇ」     グエンの呆れ顔を見て、エリザはムッ、と口を結ぶ     「つぅかよ、てめぇオレが見るたびいつもこけてねぇか?」     「む、なんだそれ、人がよくこけるみたいに」     「実際によくこけるんだろうがよ」     呆れ顔のグエンを、少し憎たらしそうに睨むが、グエンはまったく気にせずに食堂に向かって行く     エリザも立ち上がり、食堂を目指そうとしたその時     「おはようございますエリザさん」     アルの声が背後から聞こえた     「ん、おはようアルく――――」     エリザの顔が、アルの顔………正確には髪を見て、一瞬硬直する     「えっと、アル君、それ寝癖?」     かなりボサボサなアルの頭を見ながら尋ねるエリザ、背後の方でアルの頭に気付いたのか、グエンがうぉっ、とか言っている     「………? 僕の髪は元々こんな感じだよ?」     ふぅん、とエリザは腕を組んでバンダナは?と聞いてみると、どうやら洗って乾かしているらしい     「なんかね、昔僕の頭見ながら、レイブンが帽子被るなりしろっていうから、バンダナつけてたんだよ」     あれ、ただの趣味ってわけじゃあないのかとエリザは思ったが、髑髏模様のバンダナを選んだのはやはりアルらしい     レイブンは、お主がそれでいいなら、もうなにも言うまいとかなにかを諦めた様な口調で言ったんだとか。
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