三節

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「むぅ~………」     唸っているエリザを、少しおどけながら眺めるアル。     「…………ん?」     「どした?」     しばらくエリザのいる方を見ていたアルが、急に不思議そうな声を上げたのでグエンが尋ねる。     「あれ、小屋じゃないですか?」     アルの指差す方向をジッと眺めてみると、少し遠いがそれらしい物が見えた。     「ほぉ~……よく気付いたな」     感嘆する様なグエンの声に、アルは少し恥ずかしそうな笑みを浮かべる。     「もしかしたら、足とか怪我してあの小屋にいるんじゃないですかね?」     アルの発言に、それだ! とエリザが叫ぶ。     「間違いない! さっすがアル君! 行くぞ! 全速前進だぁっ!」     そう言って駆け出すエリザ     下り坂になっている山道                   「定番っつぅか、もうそろそろ飽きてきたな」     ぶぎゃああああ! と叫びながら山道をころげおちて行くエリザを見ながら、グエンは煙草に火を着ける。     「でも、本当に早いですよ、まさに全速前進です」     一応、フォローのつもりでアルは言った。
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