250人が本棚に入れています
本棚に追加
「むぅ~………」
唸っているエリザを、少しおどけながら眺めるアル。
「…………ん?」
「どした?」
しばらくエリザのいる方を見ていたアルが、急に不思議そうな声を上げたのでグエンが尋ねる。
「あれ、小屋じゃないですか?」
アルの指差す方向をジッと眺めてみると、少し遠いがそれらしい物が見えた。
「ほぉ~……よく気付いたな」
感嘆する様なグエンの声に、アルは少し恥ずかしそうな笑みを浮かべる。
「もしかしたら、足とか怪我してあの小屋にいるんじゃないですかね?」
アルの発言に、それだ! とエリザが叫ぶ。
「間違いない! さっすがアル君! 行くぞ! 全速前進だぁっ!」
そう言って駆け出すエリザ
下り坂になっている山道
「定番っつぅか、もうそろそろ飽きてきたな」
ぶぎゃああああ! と叫びながら山道をころげおちて行くエリザを見ながら、グエンは煙草に火を着ける。
「でも、本当に早いですよ、まさに全速前進です」
一応、フォローのつもりでアルは言った。
最初のコメントを投稿しよう!