134人が本棚に入れています
本棚に追加
川瀬はトランプチップの事を最初から知っている。
そう安岡は感じ取っていた。
無言のまま煙草を吸っていた安岡は煙草を置き川瀬に話しかけた。
「川瀬さん。あなたはどおして此処に?」
煙草の煙を吐き出し川瀬は安岡をみた。
「そうね・・・やっぱりお金かしら」
川瀬はゆっくりと微笑んだ。
「安岡さんは?落ち着いてるみたいだし・・トランプチップって知ってて此処に来たんでしょ?」
「私は・・・売られた方かな・・・」
「嘘?凄く落ち着いてるから・・てっきり・・」
「そうかしら?それより・・・もう直ぐ始まるゲームで何か知ってる事はない?
「私もそこまでは知らないのよね・・そうだ!同じグループになれば私と手をくまない?」
川瀬は微笑む。
安岡は川瀬の笑顔の裏側を覗きこみ・・・ある人物と重ね合わせる。
[面白い・・。人を騙すための熟練された笑顔。]
安岡も微笑み、「いいわよ」・・そう答えた。
安岡は煙草を取りゆっくりと吸い出した。
最初のコメントを投稿しよう!