華歌

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「私以外の人間なんてみんな消えてしまえばいい。 好きか嫌いかなんか関係ない。 そもそもそんなメンド臭い感情にみんな振り回されすぎだよ。 誰が誰を好きだとか、別にどうでもいいじゃん。」 ミシンの心地よいリズムに合わせての愚痴は、普段自分が無口だとは思えないくらい快調だ。 聞いてくれてるのは機械なんだけど…………。 よし、完成。 2週間前に見つけた生地で作ったワンピースは思ったよりいい出来だ。 「はぁ………学校やめてアメリカ行きたいねぇ。」 ミシンはどんなことを言っても、カタカタとだけ返事をくれる。 私にはその返事が背中を押してくれるように感じるんだ。 「ハルカがね~、隣のクラスの男子好きになったんだって。わざわざ私に話してくれなくてもいいのにね。」 コンセントを抜いたミシンはうんともすんとも言わない。 机の引き出しに隠してあるマイルドセブンを取出し、ベランダで火を点ける。 「はぁ…………アメリカ行きたい。」 上を見上げれば、私とアメリカを唯一つないでいてくれる空がある。 ミシンの音とマイルドセブン。 そして出来上がった服だけを残して、今日が明日にバトンタッチする。 私は毒煙を吐き散らかしながら、その様を見届けて、ベッドに入った。
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