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別れは人を優しくする
別れを経験し涙する度に優しくなれるのだとすれば、それは決して辛いだけものではない。
カミサマは、乗り越えられない人の前に壁を立てたりはしないのだという。
壁の高さは人によって違っても、必ず乗り越えられるのだと。
時間をかけて、ゆっくりでも、ロープやドリルを使って自力で超えたり、時には友人の手を借りる事になっても必ず乗り越える。
俺も、乗り越えたのだ。
二年かかった。
苦しくて辛くて、どうしようもなくても、友人の手に支えられ、やっと乗り越えた。
時間とは薬みたいなもので、今どんなに辛く苦しくても、時を重ねるごとに、ゆっくりと癒してくれる。
乗り越えるには時間も体力も精神力も必要だし、その過程で新たな傷を負うこともある。だから、壁が大きい程、乗り越えて直ぐに歩き出すことなど出来ない。
しかし、癒えたら、また人は歩き出す。
俺にも、その時が来たようだ。
彼女からは二年遅れだが、人のペースは多種多様。今まさに壁をよじ登っている友人の為に駆け付けたり、誰かに追いつきたくて走ってみたり、逆に誰かを待ってみたり。人生とはそんなものじゃないだろうか。
そして、ばったり出会った誰かと同じ道を歩き、そのまま一緒に暮らして行くか、また分かれ道で別れ、それぞれの道の状況を教えあったりするのだ。
遙彼方にまで伸びる道。まだまだ先は長い。
私もまた、歩き出す時がきた。
この道がいつか、今居る仲間と永遠に分かれる道にならないことを、そしてまた、別れた仲間と繋がることを祈りながら…
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