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いない
いない
いない。
たまこはもう僕には関係のないどこか遠い所へ行ってしまったのかもしれない。
胸がしめつけられるように苦しかったけど、今までたまこが受けてきた苦しみに比べれば、大したことないような気がした。
「しんちゃん!」
そう呼ばれた気がして振り向くと、小さな男の子がすこし離れた場所にいる母親に呼ばれていた。
甘えた顔で母親の元へかけよる子供。
そんな光景を見ているうちに、僕はこの場で泣いて泣きまくって、終いには気を失って倒れてしまいたいと思った。
それでニュースになって、心配したたまこが僕を迎えにきてくれるんだ。
なんだか馬鹿げているけど、そんなことを思ってしまうくらいにとても悲しくて苦しくて切なくて..
ただの18歳の僕が抱えるには大きすぎる衝撃だった。
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