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「ありがとぅ..しんちゃん、ありがとう」
僕は力をこめて体に命令した。
立て、立つんだ、しんいちーー!!あしたのジョーかよ!ってくらいに。
立ってドアを開けると、泣きながらたまこが立っていた。
僕はたまこを抱きしめた。
と、いうよりたまこに抱きつかれた。
「ごめんね、行く場所がなくて、とりあえずホテルに泊まろうとしたんだけど、お財布忘れてて。
どうしようもなくなって..帰ってきたの」
戻ってきた理由が、たまこらしい。
たまこはいつだってどこか抜けている。
だから騙されるし辛い目に合う。
でも今回はそれに救われた。
僕はたまこに言った。
「ご飯おいしかった。また作って。今度は二人で食べたい」
たまこは泣きながら、何度も何度もうなずいた。
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