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本当なら今頃は忙しいはずだったと思う。     恥ずかしながら一応美大に進学して本格的に絵の勉強をしたいという夢があった。そうあったのだ。     誰が今の僕からそんな希望に満ちた夢を想像できるであろうか。     いやむしろ夢や希望もなく将来どうするのか、という詮索の方がよっほど興味の対象になるであろう。     しかし過ぎた事はしょうがない。     これからどうするかは、その時がくれば自ずと扉は開きまた朝陽が射し込むだろう。     それまでは、ただひたすら微かな虹の光に向かって歩んでいこう。そう決めたのだ。     だから心配なんて必要ない、むしろそっとしておいてもらった方が僕としてはありがたい。ましてや心のない上辺だけの心配なんてしなくていい。     今夜は雪のような綺麗な霧雨だった。  
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