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  ……その人影は少しずつ近付いてくる。     それに正比例してさっきより幾分、声がよく聞こえるようになってきた。     確実にその声は僕の鼓膜を振動させ、何かを言っているのがわかる。しかしどこまできてもまるで曇ったガラス越しに見た景色のようで、肝心なところが聴こえない。     あっ向こうの空にはちょうどクロワッサンのような雲が浮かんでいる。     その先に目をやるとさっの雨のせいか小さな虹が見える。その虹の先には白い半分の月がぼんやりと浮かんでいる。     さて、僕も行くとするか。  
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