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月の世界
はらはらと、目の前で愛しい人が砂になっていく。
「カヤ…」
ああ、もう無駄と分かっていてもあなたを引き止めたい。置いていかないでほしい、一緒に連れて行ってほしい。
「…その子を…頼む…きっと、カヤ達一族の救い…なる、から」
涙が視界を覆う。
なのに、貴方が笑ってるのが分かる。
「ショウ…っ」
いかないで、いかないで。
「―――――」
吐息のようなその言葉を最期に、彼はあとかたもなく砂になってしまった。
「…いやああぁぁっ」
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