好きだった､人

刹那

あのお客さまの一件以来、
あたしは真一さんと話す機会が増えた。

真一さんは
一途ですごく優しい人だった。

真一さんの彼女が、すごく羨ましかった。

最近は、ため息ばかり。
何でだろう
想い当たること、ないのにな。
そんなことばかり考えてると
なんだか仕事に集中出来ない。

もたもたしていたら
いつの間にか終電も無くなっていた。

いいこと、ないなぁ

なんてぼやいてしまった。
こんなとき、真一さんがいたら

きっと一瞬でこのもやもやが吹っ飛ぶんだろうな

…なんでこんなこと、考えてるんだろう
真一さんには彼女もいて
あたしはただの後輩なのに。

好き、なんて
いけないのに。