01.冬間夕映。

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小さくて やたらとふわふわしてて …変な女 先ほど、雅也のかかと落としで一発KOとなった不良A(仮)が、ゆっくりと起き上がって。 「ちくしょ、 覚えてろよ、佐倉ァ!」 ------------ 昼休み、屋上。 普段の休み時間も立ち入り禁止のこの場所は、 昼休み、放課後限定で、特別に解放されるのだ。 ゆえに、その時間帯は人が多い。 しかし、その人々の視線は、ある一点に集中していた。 「雅也くん、いつも購買のパンなのですか?」 「あ? まぁな。 …冬間は、弁当なんだな」 「はい! お母さんはお仕事で忙しいので、お父さんとお兄ちゃんの分も、僭越(せんえつ)ながら私が作らせていただいています」 「…へぇ、兄貴いるんだ?」 「はいっ、一つ上の学年なのです」 はたから見れば、なんとも珍しい組み合わせ。 むしろ、男のほうは、学校に来ていること自体めずらしくもある。 「雅也くんは、兄弟とかいらっしゃるんですか?」 「うるさい双子の妹。 …あとは、…弟…かな」 「じゃあ、雅也くんはお兄ちゃんなのですね」 「ま、そういうことになるな。 でも、妹はうるさくて適わん」 「ふふ、私は女の子の兄弟ってうらやましいですけど…」 「全然よくねーよ。 うっせぇし、殴るし蹴るしすぐ泣くし。 …お前みたいなのが妹なら、よかったかもな」 「、え?」 「! べっ、別に変な意味じゃねぇからな?! カンチガイすんなよっ!」
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