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顔を真っ赤にしながら、必死に抗議する姿は、不自然さを浮かび上がらせるばかりだ。
…夕映は、とても穏やかにわらってみせて。
「?
カンチガイの意味は、わかりませんけど…
えっと、雅也くんがお兄ちゃんだったら…すごく楽しそうですね」
「、!」
『なんだ、このムダにピンクな空気…』
周りの内心は、言わずもがな一致していた。
「…あ、…あー…
パンたりなくなったから、買ってくる!」
「?
…では、私も…」
「いい!
すぐ戻るから!
むしろ来んなっ!」
「?」
雅也は、逃げるように、すごい勢いで階段をおりていく。
その音は、屋上の端にまでひびいていた。
「…行ってしまいました…」
一瞬ですぎていった出来事に、夕映は、きょとん、と目を丸くしていた。
雅也が帰ってくるまでに片付づをしておこうと、弁当箱のフタを手にとったのだが…
「夕ー映ーチャン。
俺たちと遊ぼーよ」
「…え…?」
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…購買前の、自動販売機前に、一人の男がうなだれている。
「…っ…あー…!
恥ずっ!
ムダに恥ずっ!」
『…雅也くん』
「…なんなんだ…」
顔も、指先も、熱くて
心臓が、痛いくらい鳴っている。
「…ワケわかんね。
そろそろ戻る、…か…」
「っいた!
雅也!」
「…卓哉?」
卓哉は、いわゆる『サボり仲間』だ。
…でも、珍しいな。
アイツが焦ってる姿…
「…夕映ちゃんが、ユウジたちにつれていかれたぞ!」
「、?!」
…冬間、?
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