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「…何、やってんだ…?」
「ええと…雅也くんが購買に行ったあと、お茶のいれかたを教えてほしいと言われまして…
えっと、ユウジさんに」
…ズキ、…
「…?」
「アリガトねー、夕映ちゃん。
また今度、くわしく教えてよ」
「…あ、はい!
私でよければ…」
「…じっくりと、二人きりで…な」
「!」
ユウジの、なんとも不愉快な動向に、イヤな予感がして。
雅也は、夕映の腕をつかむと、半分引きずりながら、その部屋を出る。
「…おい、雅也クン。
ずいぶん早く助けにくるんだなぁ?
夕映チャンのことになると」
「…るせぇ」
「『大事』なんだなァ…?」
「っっ!!」
「?
雅也く…?」
再度、『うるせぇ』と一怒鳴りしてから、そのままコンピューター部の部室をあとにした。
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「あの、雅也くん
怒ってますか…?」
「っ、何で怒らなきゃいけないんだよ」
「…え、と」
雅也の声に弾圧されて、夕映はそれから無口になった。
それに気づくと、雅也はあわてて立ち止まって
「…、ごめん。
怒鳴るつもりはなかった」
「あ、私なら大丈夫ですよ…、
よく打たれ強いって言われますから!」
「…お前な」
…変なヤツ。
小さくて、
なんか可愛くて、
いっぱいいっぱいで、
ほっとけない。
…でも、
「…冬間」
「?
はい…」
「もう、俺に近づくな。
今回は、何ともなかったが…これからもそうだとは限らないだろ」
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